奈良の自然観察

大和郡山市を中心に植物や昆虫を調べていきます。

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植物を調べる メリケンガヤツリ

家の近くのイネ科植物を調べていたのですが、かなり調べつくしたので、今度はカヤツリグサ科を調べてみることにしました。最初はメリケンガヤツリです。

6月6日に散歩に行ったときに、家の近くの休耕田に生えていたので採取してきました。小穂がいっぱい集まってもさもさした感じがします。

草丈を測ってみたのですが、根がついていなかったので、長さ50 cm以上というところです。

カヤツリグサには花の基部から長い葉のようなものが伸びています。これを苞といいます。この写真では長い苞が3枚、短い苞が1枚見えます。星野卓二ほか著、「日本カヤツリグサ科植物図譜」によれば、メリケンガヤツリでは、「苞は5~6枚、2~3枚は花序より長く、最下のものは長さ50 cm以上になる」とのことです。

花の部分を拡大してみました。花序枝が何本か見えます。塊の数で数えてみると、6~7本というところでしょうか。

一つの塊には小穂が20~30個ほど球状についています。

一部を取ってみました。こんな風に層状に積み重なっているようです。

小穂です。長さを測ると8.9 mm。花の数は18個。「図譜」には5~15mmで10~30個の花と書かれていました。

小穂の基部を拡大してみました。茶色く見えるのは痩果です。

一つの花を取ってみました。花は鱗片という膜で覆われていて、長さは2 mm程度。

鱗片の中には痩果が入っていました。

鱗片の背側から撮ってみました。イネ科で見た脈のようなものが見えます。

例によって鱗片を両面接着テープの上に押し付けて広げてみました。湾曲しているので無理に広げようとして先端が割れてしまいました。中心線の両側に白い脈が見えています。

痩果は長さ1 mm程度で先端に花柱がついています。痩果は三稜体です。

実体顕微鏡下で焦点位置を変えて18枚の写真を撮り、深度合成してみました。痩果の表面には小さな凹みがたくさん見えます。

ということで、カヤツリグサ科のメリケンガヤツリを調べてみました。ある意味、イネ科植物よりは簡単な構造でした。「図譜」によれば、メリケンガヤツリは北米西部、南米、欧州南部で野生化していて、日本では関東以西で帰化しているとのことです。

植物を調べる ヤマアワ

6月6日、家の近くの田んぼの周りでイネ科の植物を探したのですが、休耕田でやや大型のイネ科植物を見つけました。家で調べた結果、ノガリヤス属のヤマアワらしいので、一応、調べた結果を載せておきます。

見つけたのはこんな植物です。穂が大きくてもしゃもしゃした感じです。実はこれは穂が開く前の状態で、もう少し経ったら穂が一斉に開くと思われます。

採取した植物の草丈は1.26 m。長田武正著、「日本イネ科植物図譜」によれば、0.6~1.7 m。こんなものかもしれませんね。

引っこ抜いたらすぐに抜けたので、根が発達していないようです。それで一年草かなと思ったのですが、「図譜」によれば多年草だそうです。多年草でも一年目は一年草のような根をもつとどこかに書かれていたような気がしました。

葉舌は枯れていてよく分かりませんでした。それらしいところを測ると3.3 mm。「図譜」には3~8 mmと書かれているので、一応、範囲には入っています。

穂の長さは21.6 cmもありました。

穂を拡大してみると、小穂が山のようにあり、何が何だか分かりません。

一部を取ってみたのですが、それでももしゃもしゃしています。

針で分けてみました。2本ずつ分かれているように見えます。

小穂はこんな形です。包頴がえらく長くて、小花は包頴の中に埋もれています。包頴の長さを測ると6 mm強。第1包頴の方が少し長くなっています。「図譜」によると、小穂の長さは5.5~8 mmとのことです。

包頴はやけに細長く、先は芒のようにとがっています。

例によって、包頴を根元で切り、両面接着テープに貼り付けてみました。細長いことがよく分かりますが、先端は芒ではなかったようです。第1包頴は1脈、第2包頴は3脈あります。

花が咲いている小穂です。第1包頴の下に第1護頴が見えます。第1護頴は第1包頴の半分くらいの長さです。また、基部から生えている長い毛があり、第1護頴より長くなっています。

第1護頴の先端には短い芒があります。よく見ると、先端より少し手前から出ています。

包頴を取り除き、基部から生えている毛をハサミで少し切りました。

芒の生え方が変わっています。他のノガリヤス属も生える場所こそ異なりますが、同じように浮き上がったように生えているので、この属の特徴かもしれません。

護頴の脈を見るためにもう一度、写してみました。

そして、護頴の基部を切って、両面接着テープに貼り付けてみました。3脈は間違いなさそうです。先端が二つに割れているようです。芒は先端の少し手前からあらぬ方向に伸びていることが分かります。

最後は内頴です。内頴も先端が大きく二つに分かれており、それぞれの中心を竜骨が走っているようです。

なお、「図譜」にはノガリヤス属の検索表が載っていました。最初はClayton(1986)による検索表の抜粋で、上に載せた写真を照合することでノガリヤス属に属することが分かります。

A. 包頴は護頴より長い

 B. 護頴は薄く透明。包頴の長さの1/2~2/3。基盤上の毛は護頴の1/2長以上か、ときには護頴より長くなる ノガリヤス(Calamagrostis)属

次は「図譜」に載っていた検索表の抜粋です。これでヤマアワであることが確かめられます。なお、小軸突起というのは基部の毛と一緒に生える突起のことで、種によっては包頴より長いものがあるそうです。ヤマアワには生えていません。

A. 包頴は他の種類より目立って細くてほとんど線形。護頴は3脈、基盤にはえる毛(基毛)は包頴より短いが、護頴よりははるかに長く、小軸突起はない。平地から低山地の産で、しばしば大群落を作る( Calamagrostis 節)

 B. 円錐花序は直立。包頴は同長で、基毛は長さが護頴の1.5倍ほど ヤマアワ

植物を調べる スズメノチャヒキ

5月29日、道端でスズメノチャヒキらしい植物を見つけました。イネ科植物を調べていたので、1株採取しました。

採取したのはこんな植物です。道端や佐保川土手でよく見かけます。

採取してきた株の草丈を測ってみました。草丈27 cm、意外に小さかったです。長田武正著、「日本イネ科植物図譜」によれば、30-70cm。当たらずと言えども遠からずというところでしょう。根はいかにも貧弱です。一年草でしょう。

穂の長さも測ってみました。この写真では上部がどこまでかはっきりしなかったのですが、一応、10.8 cmになりました。

葉舌の高さを測ろうと思って、葉を少しめくってみたのですが、毛がいっぱいで葉舌がどれかよく分かりません。

葉を折り返してみると、辛うじて葉舌のようなものが見えました。

寸法を測ってみると、1.3 mm。「図譜」には1-2.5 mm。こんなものでしょう。

茎のところどころに膨れた部分があり、そこは黒くなっていました。

小穂は長さ15.5 mm。「図譜」には17-23 mm。少し小さいようです。

第1包頴とそれより少し長い第2包頴が見えます。第1包頴の下には第1護頴もありました。

包頴を基部から少し離して、寸法を測りました。「図譜」と比較すると、どれも少し小さめですが、これもまあこんなものでしょう。芒の長さは下方小花では3 mmほどと書かれていましたが、測ってみると4.5 mmありました。

包頴を背面から撮ってみました。

いつものように、包頴の基部をハサミで切り、両面接着テープの上に広げて接着させました。そして、透過光で撮った写真がこれです。第1包頴は5脈、よく見ると、細い脈があと2脈くらいはありそうです。第2包頴は全部で9脈でした。

第1護頴を背面から撮っておきました。先端は少し凹んでいて、その間から芒が出ているのが分かります。

両面接着テープに貼り付けて撮った写真です。全部で9脈ありました。

芒を拡大すると、細かい刺がいっぱい生えています。

第1護頴をひっくり返したところです。護頴より少し小さな内頴が見えています。内頴の縁には長い毛がまばらに生えています。

長さは5.6 mm。

内頴をひっくり返すと、中に小さな葯が見えました。

両面接着テープの上に内頴を広げて接着させてみました。太い竜骨の外側に薄い膜がありました。

植物を調べる ヒメコバンソウ

5月28日に草はらからヒメコバンソウを採取して調べてみました。予想はしていたのですが、小穂が小さくて、しかも包頴も護頴も丸まっていて、脈の観察も撮影もどうしようもない状態でした。ということで、あまりうまく写真は撮れなかったのですが、とりあえず出しておきます。

ヒメコバンソウはどこにでも生えているありふれた草です。「日本帰化植物写真図鑑」によると、ヨーロッパ原産で、今や世界中に分布しているそうです。日本には江戸時代に帰化し、本州中部以西に見られるということです。

採取してきた株は草丈53 cm。だいたいこんなものでしょう。

根っこは発達していないので、一年草でしょう。

いつものように葉舌を調べようと思ったのですが、意外に苦戦。薄い膜状の先端は分かるのですが、下までずっと切れ目なく続いていて、どこからが葉舌なのかまったく分かりません。

とりあえず枯れている先端部分の寸法を測ったのですが、1.3 mm。「日本イネ科植物図譜」によれば3-6 mm。おそらく測っている部分が違いますね。よく分かりません。

花序はこんな感じです。一応、上が小さくて、下に行くほど広がっているようなので円錐花序。

花序の枝はこんな風に2つ、あるいは3つに枝分かれしています。

これは小穂です。長さは2.4 mm。意外に小さいです。

基部にあるのが包頴ですが、写真のように曲がっています。長さをどうやって測ったらよいのかわからないので、外周に沿って測ってみました。第1包頴は2.0 mm、第2包頴は2.6 mmになりました。全部で4小花。

いつものように包頴の写真を撮りました。第1包頴は3脈、第2包頴は外側に細い脈がありそうなので5脈のようです。

それぞれの基部をはさみで切って、両面接着テープに無理やり貼り付けました。形が丸いのであちこち破れてしまいましたが、第1包頴は3脈、第2包頴は5脈であることが分かります。

第1護頴はさらに大変でした。これは背側から撮ったものです。中央部分は薄緑色になっていて脈らしいものが見当たりません。左右の部分は濃緑色になっていて、ここには3脈が見えます。

これは腹側から撮ったものです。中央には内頴があります。

この丸まった護頴を何とか伸ばして両面接着テープに貼り付けました。ぼろぼろです。全体的に中央の破れたところに脈が一本あり、濃緑色のところには3脈が見えます。たぶん、これでいいのだと思うのですが、実は「日本イネ科植物図譜」の図とはだいぶ違いました。

最後は内頴を両面接着テープに貼り付けて透過光で撮ったものです。両端近くに太い脈があり、その外側に翼が出ています。よく見る内頴と同じような構造です。

ということで、何とかヒメコバンソウの小穂の構造を調べました。なんせ小さいのと、丸まっているので苦戦の連続でした。

植物を調べる カモジグサ

最近、イネ科植物を調べています。5月23日、家の近くの空き地でカモジグサを採取してきました。

カモジグサはこんな植物です。どこにでも生えている雑草ですが、一度、調べてみることにしました。

採取した株の草丈は93cmでした。根までが採取できなかったので、実際はもう少し大きいと思います。根がないので一年草と多年草の区別がつきませんが、長田武正著、「日本イネ科植物図譜」によると、多年草だそうです。

穂には小穂が一つずつずらっと並んでいます。こういう花序を穂状花序といいます。穂の長さは28 cmでした。

葉の基部には葉耳はありません。また、葉舌は小さく、測ってみると高さ1.0 mmでした。「図譜」によると、1 mm未満とのことでした。

葉幅は18.6 mm。「図譜」では5-10 mmとなっているので、少し大きめの株を採取したようです。

これは小穂です。長さは30 mmほどで12小花くらいまでが数えられます。これも「図譜」によると、15-25 mmで5-10小花となっていました。

小穂は白い粉が吹いたような感じでした。包頴を本体から外して寸法を測ってみました。第1包頴は7.3 mm、第2包頴は8.5 mmでした。また、第1護頴は8.0 mmでした。「図譜」によれば、包頴は4.5-7 mm、護頴は9-12 mmとのこと。

包頴を小穂についたまま背面から写してみました。

これは包頴の下部を切り、両面接着テープ上に貼り付けたものです。従って、包頴の内側が見えています。いずれも太い脈が3本、その間に細い脈が見えています。また、第2包頴の先端は短い芒になっています。

これは第1護頴です。長い芒があります。測ってみると30 mm弱。下の写真は護頴の背面を撮ったものですが、脈は基部になるに従い、薄くなってよく分からなくなっています。

第1護頴も両面接着テープに貼り付けてみました。中心に5脈と外側に2脈が見えています。芒になる部分を拡大したものが下の写真です。中心の脈がそのまま連続して芒になっていることが分かります。

護頴をひっくり返して内頴を見たものです。内頴の長さは護頴とほぼ同じ長さです。この点が類似種のタチカモジグサやアオカモジグサとは違う点で、タチもアオも内頴の長さは護頴の2/3しかありません。

内頴の竜骨に沿って上側2/3程度には透明な翼がついています。その翼には細かい歯が並んでいます。

最後は護頴の中にあったものを取り出したものです。てっきり子房と未発達な柱頭だと思ったのですが、「図譜」の絵と比べてみると、これが果実のようです。

植物を調べる ネズミホソムギ

最近、イネ科植物を調べているのですが、手元に採取した試料がなくなったので、5月23日に家の周囲の空き地に生えているホソムギらしい植物とカモジグサを採取してきました。ホソムギらしい植物にはよく見ると小穂に芒があるので、ネズミムギかもと思ったのですが、芒のあるのは第4小花からなので、たぶん、ホソムギとネズミムギの交雑種であるネズミホソムギではないかと思っています。

採取してきたのはこんな植物です。最初、芒が見えなかったのでてっきりホソムギだと思ったのですが、よく見ると芒が生えていました。

草丈は90 cmでした。

そして、穂の長さは37 cm。花軸に小穂がずらっと並んだ形の穂で、穂状花序になります。長田武正著、「日本イネ科植物図譜」によると第3群のホソムギ属 Loliumに該当します。

根はしっかりしたもので多年草のようです。

穂の先端の方を拡大してみました。花軸についている一つ一つが小穂なのですが、その小穂の中には小花がぎっしり詰まっています。

この植物の特徴は穂の先端の頂小穂には包頴が2つついていますが、それ以外の側小穂には包頴が一つだけというところです。

葉の基部を拡大してみました。大きな葉耳があります。その内側に短い葉舌がありました。

「図譜」にはネズミホソムギについての記述はありませんが、ネズミムギの葉舌は高さ1~2 mmとなっているので、まあ当たっています。

ホソムギとネズミムギを見分けるポイントの一つに葉の幅があったので、測ってみました。7.8 mmになりました。ホソムギは2~4 mm、ネズミムギは3~8 mmになっているので、ネズミムギに近そうです。

側小穂は長さ16.6 mmで小花が14個もありました。小花の付き方から、側小穂について包頴は第2包頴のようです。ちなみに、「図譜」によると、ネズミムギでは小穂の長さが12~25 mm、小花の数は10個以上となっていました。ホソムギでは小花が10個以下となっていたので、やはりネズミムギに近そうです。

第2包頴を拡大してみました。第2包頴の向かい側が第1小花になるのですが、基部がほぼ同じところにあるので、第2包頴の下側にあるのが第2小花ということになります。

第2包頴を広げて、各部の大きさを測ってみました。第2包頴は長さ10.0 mmで、小穂の長さの60%もあります。ホソムギでは30~75%、ネズミムギでは25~50%なので、第2包頴の長さはむしろホソムギに近いようです。さらに、ネズミムギでは護頴に長い芒があるのですが、採取した植物では第1~3小花までは芒がなく、第4小花から短い芒があります。こんなところから、ホソムギとネズミムギの中間的な性質をもつので、その交雑種であるネズミホソムギではないかと思ったのです。

第2包頴の写真で、上は背面を直接撮ったもので、下は内面を両面接着テープの上に広げて透過光で撮ったものです。細いものまで加えると9脈ほどあります。

これは第1護頴の写真です。上はそのまま、下は両面接着テープの上に広げたものです。全部で5脈あります。護頴の先端は少し凹んでいますが、芒はありません。

護頴の蓋をしている内頴を外したものです。中には若い子房が入っていました。

これは内頴の写真です。太い脈には細かい棘が見えます。また、脈の外側は膜質になっています。

子房の拡大です。端には将来柱頭になるような突起が出ていました。

少し芒を調べてみました。確かに第4小花から芒が出ています。

そこで、第4小花を拡大して撮ってみました。芒は長さ1.9 mm、護頴の先端の凹んだところから出ています。ネズミムギの芒は5~12 mmなのでかなり短いことが分かります。

これは護頴を外して両面接着テープの上に広げたものです。中央の脈に引き続いて芒になっていることが分かります。

次は頂小穂についてです。頂小穂は長さ15.6 mm。第1包頴と第2包頴がついています。第1包頴の方が大きくて、長さは9.1 mm。小穂の長さの58%になります。

背面から第1包頴と第2包頴を撮ったものです。

そして、両面接着テープの上にそれぞれを広げたものです。第1包頴は細いものもいれて6脈程度、第2包頴も6脈あります。

上は第1護頴の背面の写真です。頂小穂には第2小花から芒があるので、第3護頴にも芒があります。

これは第2護頴と第4護頴を撮ったものですが、長さ5~6 mmの長い芒があります。

ということで、紆余曲折はしたのですが、結局、ホソムギとネズミムギの交雑種であるネズミホソムギではないかと思っています。なお、ネズミホソムギは「野に咲く花」、「帰化&外来植物950種」には載っていました。

植物を調べる クサヨシ

毎朝、家の近くを散歩しているのですが、5月19日の散歩のときにやや大きなイネ科植物を見つけました。

こんな植物です。クサヨシだろうと思ったのですが、佐保川の水際なので採取することができません。

しばらく歩いていたら、今度は休耕田で同じ植物を見つけました。早速、採取してきました。

かなり大きな植物です。草丈が121 cmもありました。たぶん、クサヨシで合っているだろうと思って、長田武正著、「日本イネ科植物図譜」を調べてみました。高さ70-180 cmと書かれているので、こんなものなのでしょう。

根っこの方を見ると太く茶色になっています。たぶん、多年草でしょうね。

円錐花序です。先端の穂の長さを測ってみると11.7cm。「図譜」によると、5-25 cmとなっていて、一応、範囲には入っています。

一つの節から1-2本の枝が出ています。一番基部のところは右に拡大した通り、2つの節から枝が出ていました。

一つの枝に小穂が群がるようについています。黄色く見えているのは葯です。「図譜」によると、最初は枝が直立して全体として穂のように見え、このとき雄蕊が成熟するとのことです。その後、枝が斜上あるいは開出して、雌蕊が成熟し、果期には再び細長い穂状になるそうです。採取してきたものは枝がちょうど開き始めたところだったようです。

葉舌を撮ってみました。上は葉を裏返しただけの状態、下は葉をめくって取り外したところです。葉舌の長さは最大で3.5 mmありました。「図譜」によると、2-3 mm。そんなものなのでしょう。

小穂を一つ取ってみました。小穂の長さは4.0 mmでした。中心に葯が見えます。それを覆いかぶさるようになっているのは実は包頴です。

包頴は第1も第2もほぼ同形で、撮っているうちにどちらがどちらかわからなくなりました。

包頴の基部をはさみで切って、例によって両面接着テープ上に押し付けて、透過照明で撮影してみました。脈は共に3脈。両端の2脈は2重線になっています。

小穂の包頴を広げたところです。長さをそれぞれ書いておきました。「図譜」によると、護頴の長さは3-3.5mmとのことです。包頴は緑色ですが、護頴は無色で背面に毛が生えています。

包頴を取り外してみました。小花の基部には二つの丸いものがついています。「図譜」によると、これは退化した小花だそうです。つまり小花としては全部で3個だが、2個は退化しているので見かけ上、1小花というわけです。このような植物は「図譜」によれば第9群に分類されます。

小穂によっては雌蕊の柱頭が見えているものもありました。やはり雄蕊から雌蕊への移行期というわけですね。

護頴を斜め上から撮ってみました。脈がはっきりとは見えません。

そこで、根元で切って、両面接着テープに押し広げてみました。護頴の形が丸いので切れ目を何か所か入れないとテープにつきませんでした。透過照明で撮っても、やはり脈がはっきりしません。5脈くらいはありそうです。

そして、内頴です。先端が尖って、中心に割れ目ができています。脈は相変わらずはっきりしませんが、2脈程度でしょうか。

ということで、今回はクサヨシを調べてみました。イネ科は外見からはよく似ていて区別がつきにくいのですが、小穂を細かく見ると、それぞれに特徴があり、なかなか面白いです。